小川山 サブウェイ 3級
比叡ツアーのブログを書いたついでに、もう一つの感動的なクライミング体験についてもブログに綴ろうと思う。
2022年の夏休み。その年の2月はじめ辺りにクライミングを本格的に始め、6月ごろから外岩デビューを果たした。インドアのジムに慣れ親しんでいたので、ジムでは簡単な6級の課題ですら、外岩では手に負えない程であった。
それでも自然の岩を登ることの悦びは強烈で、必死に岩と向かい合っていると、5級以下はそこそこ登れるようになってきた。
夏休みに入り自由な時間が圧倒的に増えたので、岩場に通いまくった。そんな中巡り合った課題が小川山のヴィクターと呼ばれる岩のトラバース課題、「サブウェイ 3級」である。3級の課題はそれまで登れたことがなく、登れるとも思っていなかったが、物は試しと思い触ってみることに。
すると意外なほど好感触。その日は他の課題をさんざん触った後で、打ち込む体力はなく、次回へお持ち帰りという形になった。
1週間ほどのちに再び小川山へサブウェイのために訪れた。その日は深夜から早朝にかけて雨が降り、上部が被った形状のヴィクター以外は濡れに濡れていた。
雨上がりという事もあり、小川山にクライミングしに来ている人はほとんどいなく、貸し切りでサブウェイに取り組んでいると、Fさん(50~60代の男性)がやってきた。ほかの岩は濡れすぎて登れないとのことだった。そこで、Fさんとサブウェイをセッションすることになった。
ベテランのFさんと協力し、その日1日かけて全ムーブをばらすことが出来た。セッションとは何て楽しいものなんだと思った。
それからまた1週間ほどのち、友達2人と小川山へ向かうことになった。2人には申し訳なかったが、個人的にサブウェイの決着をつける時間を作ってもらった。
つい最近にムーブをばらしたこともあり、核心を含む全てのムーブを思い出すことは容易であった。そしていざ繋げのトライ。核心はクリアしたものの、トラバース終盤で落ちてしまった。2回目のトライでは核心で落下。繋げることの難しさを実感した。
そして3回目のトライ。集中力を高め緊張感を持ちつつリラックスした状態で、スタートホールドを持つ。核心を突破し、1回目で落下した箇所も超えトラバースは無事に通過。リップに出る直前で焦り、足を滑らせたが気持ちで持ち堪えた。そして上部へトップアウト。集中から解き放たれ、頂上で頭を抱えてしゃがみこんだ。
出来たんだ...
感無量であった。
圧倒的解放感のもと岩から降り、マットの位置調整をしてくれた友人に感謝を述べた。
この体験はつい最近の「アナと植木」を登るまでは僕のクライミング史上最も感動的なものであった。1つの課題に日を跨いでまで打ち込み、成功する。このような行為がもたらす悦びは計り知れない。
いつかまた、何日も思いつめるような課題に直面するとき、このような成功体験が成功の糧となることは間違いないだろう。これからも精進していきたい。